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請求書は郵送する?それともPDFをメールで送付?

請求書は郵送する?それともPDFをメールで送付?

請求書の役割とは

ビジネスは究極的にはお金のやり取りを目的としています。
モノやサービスを提供する側は、お金を受け取ることにより、一つのビジネスが完結することになります。

そのお金をやり取りする際、お金を受け取る側が作成し、お金を支払う側に渡す文書、それが請求書です。

何故、請求書が発行されるのでしょうか。
まず法律的な側面から見てみると、金銭の支払い義務は契約の条件に従って発生します。

物品の引き渡しや特定の役務(サービス)の提供が終わった時、あるいはそれに伴って検収書や受領証が発行された時、等、契約では支払義務の発生条件が決まっているはずなので、その条件が成就した時点で支払義務が発生しています。

つまり、請求書の送付が契約上の支払義務発生の要件となっていない限り、請求書が発行されても、されなくても、支払義務は発生しているのです。

しかし、支払義務発生の条件が成就しているかどうか、不明確な場合があります。当事者間で認識が異なる場合もあるでしょう。
そのため、条件が成就したことを当事者で確認するために、言い換えると無用のトラブルを避けるために、請求書が作成され、やり取りされています。

一方で支払側からしても、請求書を受取り、それを元に支払うことで間違えた支払を減らすことができます。
特に、会社のように、条件を管理している人と、支払いを行う人が異なるような場合には、間違えた支払いが起こりやすいと言えます。

そのため、社内で支払を依頼するために、請求書が必要とされることが広く実務として行われています。

請求書をPDFで送付してもいいの?

af9960012107このように、請求書があるかないかは法的な支払義務には影響しないため、請求書は、送らないという選択もあり得るような文書です。

実際に請求書なしに支払が行われるケースも、絶対にありえない、わけではありません。
そのため、従来は郵送していた請求書を、メールで送付しても、法的な問題はありません(郵送とメールで2度請求書を送ることも特に問題となるポイントはありません)。

また、当事者間で無用なトラブルを避ける、という実務上、請求書がやり取りされている理由からしても、PDFを送付することで、同様にトラブル回避に役立てることができます。

但し、メールで送付する場合には、WordやExcelのファイルではなく、PDFファイルを送付することが一般的です。
その一番の理由は改竄を防ぐところにあります。

後々トラブルになった場合、どのようなやり取りが当事者間でなされたのか、が客観的に説明(証明)できることが重要です。
そのためには、送った請求書の内容が書き直されないようにしておく必要があるのです。

請求書をPDFで送付するメリット

請求書を郵送に代えて、PDFで送付することができると、特に問題がないのみならず、以下のようなメリットがあります。

手間とコストが大幅に削減できる

PDFで送付するのではなく、郵送する場合、切手が必要です。
請求書を一枚だけ送るわけにもいかず、封筒も必要になれば、送付状も必要です。

更に、郵便局やポストまで出向く必要があります。
PDFで送付することによって、これらの手間とコストを削減することが可能になります。

手元に請求書を送った証拠が残る

郵送の場合には、何時、誰にどんな請求書を送ったのかを請求書の控えとともに保管しておく等、ひと手間かけないと請求書を相手に送ったことを証明するのは難しいです。

これに対して、メールにPDFの請求書を添付して送信した場合には、送信履歴として残ることになるため、後から相手が請求書を受け取っていないと言い張った場合にも、対応しやすくなります。

一方で、請求書をPDFで送付することが、郵送することに比べて何かデメリットがあるかというと、ほとんどないと言えます。

メールで送るよりも、郵送する方が、相手に気づいてもらいやすい(見逃されるリスクが少なくなる)可能性はありますが、メールの送信後に電話で確認することで避けられる程度のリスクに留まるためです。

請求書をPDFで送付する際に気を付けるべきポイント

このように請求書をPDFで送付することにはメリットが多いのですが、特に気を付けておくべきポイントを3点ご紹介します。

1.郵送の請求書が必要なのか、を事前に相手に確認しておく

法的な議論はさておき、スムーズな支払が行われることは当事者双方にとってメリットがありますので、支払う側の社内処理として郵送の請求書がどうしても必要なのだ、ということであれば、郵送する必要があります。

これまでそのような実務を行ってきた会社の中には、請求書をPDFで送付することが非常識だと思われる場合もあります。そのため、事前の確認は行っておくべきです。

2.メールの件名に、請求書を添付していることを書いておく

これはメールの見逃しや誤って削除されてしまうことを避けるためです。
またメール本文に、請求書を添付していることを明記しておくと、なお安心です。

更に、メール本文に請求書の内容(請求金額や支払期限、請求番号等)を記載しておくと、先方がファイルを開かなくても内容が確認できるうえ、後から検索することもできるため、より丁寧だと言えます。

3.PDFファイルには必ずパスワードをかけて送る

言わずもがな、メールを誤送信するリスクがあり、その際に請求書に記載された内容が流出しないための対応です。
PDFファイルにパスワードがかけられない場合には、圧縮ファイルにして、そこにパスワードをつけることが良く行われています。

まとめ

請求書は法的には必要な書類ではありません。
しかし、ビジネス実務・慣習上はほぼマストな書面です。

請求書のPDFをメールで送付することには問題がないのみならず郵送よりも手間やコスト等の面でメリットがあるため、相手方に確認した上で、PDFで送信することがおすすめです。

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