季節の挨拶が必要な文書と不要な文書

ビジネス文書は、いきなり本題を記載するのではなく、タイトルの後に(つまり本文の前に)、一言挨拶を添えることが一般的です。
この挨拶に、季節を感じさせる文章を記載することで、より丁寧に作られた文書である、と相手に感じてもらえる可能性があります。
季節を感じさせる挨拶の文章を、時候の挨拶とか時節の言葉、と呼んだりすることもあります。
ただ、この季節を感じさせる挨拶の文章、絶対に必要なものではありません。
また、どのようなビジネス文書にも記載していいわけではなく、返ってそのような言葉を入れない方がいい場合もあります。
季節の挨拶が不要なビジネス文書
季節の挨拶を記載しない方がいい文書の代表例は、大きく三つが挙げられます。
一つは、お詫びの手紙です。
お詫びはとにかく、早く行うのが鉄則です。そのため、季節の挨拶を悠長に記載していても読み飛ばされる可能性が高い、のみならず、季節の挨拶を考えるという余計なことに時間をかけていることが相手の怒りを増幅する可能性があります。
そのため、季節の挨拶はなしにして、簡潔にお詫びの文言を記載することが求められます。
二つ目は、報告書です。
報告書もお詫びの手紙と同様、報告すべき事柄を早く相手に伝えることが望ましいため、季節の挨拶は抜きにします。
特に、相手方から求められる報告書は、相手方としても早く内容を知りたいと思っているでしょうから、報告内容を述べることが優先されます。
そして、三つ目は、相手方と内容の確認が必要なビジネス文書です。
具体的には、見積書や領収書、請求書などがこれに該当します。
見積書は、渡して終わりということは通常はなく、内容について説明した上で、受注に関するやり取りを経て、相手方と内容の確認がなされますし、領収書や請求書は既に相手方と共通した認識がある事柄を文書に落としたものです。
このような文書では、文書の内容にフォーカスが当たり、挨拶文は無視されることが一般的です。
そのため、季節の挨拶に凝ることも、通常は行われません。
季節の挨拶が必要なビジネス文書
では、季節の挨拶が必要となるのはどのようなビジネス文書でしょうか。
もっとも、季節の挨拶に気を配る必要があるのは、案内文です。
案内文は、相手が知りたいと思うかどうかよりも、こちらが知らせたい内容を記載した文書のことです。
具体的には、事務所の移転、役員の変更等の連絡の手紙がこの案内文に該当します。
このような案内文で、季節の挨拶が必要となる理由は二つあります。
一つは、文書の内容をしっかり考えている、とアピールするためです。
事務所や役員の変更は、相手方にとってはどうでもいい、ことである場合も多いため、よりしっかり感を出すために、季節の挨拶に凝った文章を用意することには意味があります。
そしてもう一つは、案内文に事実のみを記載すると味気なく、紙のスペースが余ってしまうことも多いためです。
事務所を移転しました。新住所はここです、だけではハガキ1枚のスペースも持て余してしまいます。
季節の挨拶を含めることで、有効な場所稼ぎができるわけです。
まとめ
季節の挨拶はどのようなビジネス文書でもすべからく必要となるものではありません。
むしろ、記載することで余計に悪い印象を与えてしまうこともあり得ます。
作成する文書に季節の挨拶を記載するかどうかは、まず第一に、相手が文書に記載してある内容を早く知りたいのか、に依ります。
そして次に、記載してあると読んでもらえるのか、記載しないと不都合があるのか(見栄えが悪い等)、で判断する必要があります。
ビジネス文書はひな形を流用して作成するケースが大半だと思いますが、その際、季節の挨拶があったりなかったりする理由をこの二つに照らし合わせて確認していただければと思います。